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CARs & BIKEs & ミッレミリア参戦模様

ほとんどの男の子が誰でもそうだったように僕も幼少の頃ミニカーでずいぶんわくわく遊んだ。「おおきくなったら赤いスポーツカーに乗って・・・」などと言っていたようだ。大人になる途中でそのわくわくは一旦は薄れるけれど、どこかでひっそりとそいつはその勢いを取り戻すチャンスを狙っていたのではないか。社会人になってふとそのチャンスがやってきたときに僕はちゃんとそのわくわくを忘れていなかったから掴むことができたのかもしれない。ある知人からベンツSL380というスポーツタイプの古い車をほとんど只のような安さで譲ってもらったのだ。たまらなく嬉しかった。それから随分たって、もっと小さい時の夢に近づけたいと、頑張って赤いスポーツカーを中古で手に入れた。ポルシェ911カレラ(タイプ993)だ。380SLのときもそうだったが、その都度、こいつを一生乗ってやる!と思うのだが、そんなことにはなかなかなりそうもない。ひとつ知るとそれがきっかけでどんどん知るべきものや方向がひろがっていくのはその一歩手前の段階では想像がつかないのだ。

あこがれのポルシェのそのレスポンスの良さは今まで味わったことのない刺激だった。びっくりした。これがポルシェなのだと。でもポルシェの中でもターボとなるとさらにスゴいということは、ターボでないポルシェに乗らなかったらまず身近な情報として受け取ろうとする感覚になっていないものだ。で、当たり前に「ターボに乗ってみたい」になってしまった。ワインレッドの993ターボに乗り換えた。やはり裏切られることはなかった。いや、予想をはるかに上回ったという意味ではいい意味で裏切られたというほどだった。もっともっとびっくりした。そんな感じで僕の車人生は高回転をキープすることになっていった。フェラーリ355、ポルシェターボ996、フェラーリ360スパイダー・・・・、そしてしだいに歴史をさかのぼるような旧車への興味も吹き出し、ついにはミッレミリアというクラシックカーラリー参戦にまではまり込む。そのために手に入れたのは1954年のイギリスのマシン、AC-ACE 。日本のレース(ラフェスタミッレミリア)などはもちろん世界一美しいレースといわれる本場イタリアのミッレミリアまでそのマシンで参戦し、初参戦でナショナルトロフィー(国別トップ)まで獲得した。古い車の曲線的な美しさ、丁寧にデザインされた遊び心、そういうのは現代ではもう有り得ない素敵さなのだということを身をもって体験した。走りにしても音に耳を傾け、ハンドルの振動から調子を読み取り、水温や油圧をたえず気にしてエンジンやタイヤをとことんいたわりながらでないと完走もできない、そんな緊張感とチャレンジ欲とわくわく、つまりロマンが古い車には溢れているのだ。そして生半可な気持ちでは扱えない、参加できない、という点も大いに刺激的なのだ。そういうところに集まる輩もまたいいのだ。生半可な大人ではない、とてもいい空気の社交も広がる。ということで、僕の車の嗜好もさらに振幅を増した。現代車のポルシェやフェラーリに乗っている場合じゃなくなってしまった。もともとそうなのだが僕は車とかバイクに対しての一番の楽しみ所に、操る面白さを置いているのだから結局そうなるのも必然なのだが、結局現代のそれらを手放し、70年のフェラーリDino を手に入れた。今ではこんなに美しい形の車はどこも作ってくれないというほどの美しさと操るおもしろさ、気が抜けない緊張感、古過ぎないから(ミッレミリアには新し過ぎて出られない)そこそこの安定した安心感があること。そういうことで僕はその Dino を日常使いにしているのだ。名車だからといって床の間に飾るような持ち方はしたくない。やはり道具としての部分を味わってこそ車の醍醐味なのだから。

もちろん最新の車にもいつでも興味はある。これからきっとさらに振り幅も拡大していろいろ試したくなるのかもしれないし、もっともっと古い車にしか目がいかなくなるのかもしれない。自分でも見当がつかない。だけどどんなに年老いてもどんな形であれきっと車やバイクに夢中であり続けそうだ。そう、小さい頃の自分が一生潜んでいるのだ。